1. TOP > 
  2. お役立ちコラム > 
  3. サービス提供責任者になるには?資格要件と仕事内容を解説

サービス提供責任者になるには?資格要件と仕事内容を解説

「サービス提供責任者になるのに必要な資格は?」「具体的な仕事内容を知って、キャリアアップの参考にしたい」このような疑問は、訪問介護事業所で働くスタッフの方に起きがちです。

サービス提供責任者になるには、実務者研修の修了や介護福祉士の取得が求められます。しかしサービス提供責任者へのキャリアアップにより「給与面の待遇改善」や「正社員雇用」などが期待できます。

本記事では「サービス提供責任者の仕事内容」と「求められる資格要件」を中心に解説します。

サービス提供責任者とは

サービス提供責任者とは、訪問介護事業所の利用者に対して質の高いサービスを提供できるようにサポートする役割です。

ケアマネジャーが立案したケアプランをもとに、訪問介護サービスの提供に必要な「訪問介護計画書」を作成します。ケアマネジャーや訪問介護事業所のスタッフなどと連携し、訪問介護サービスの質を管理します。

サービス提供責任者の配置義務

サービス提供責任者は、訪問事業所において1名以上の配置が義務づけられています。たとえば利用者数40人以下の訪問事業所では、常勤のサービス提供責任者1人以上の配置が必要です。

また、直近3か月間の利用者数が40名増えるごとに、サービス提供責任者の人数も増やす必要があります。たとえば利用者数が41~80人の場合は、2人以上、81~120人の場合は、3人以上などです。

なお、以下の3つの要件を満たした場合、利用者数50人に対してサービス提供責任者1人の配置でよいとされています。

・常勤のサービス提供責任者を3人以上配置
・サービス提供責任者の業務に主として従事する者を1人以上配置
・サービス提供責任者が行う業務が効率的に行われている場合

訪問介護事業所において、サービス提供責任者は欠かせない存在です。在宅介護が推進されるなか、サービス提供責任者の需要はますます増加すると予測されています。

ケアマネジャーとの違い

サービス提供責任者とケアマネジャーの違いは仕事内容や調整対象、求められる資格などです。

ケアマネジャーは、介護が必要な方が介護サービスを利用できるように「ケアプラン」を作成します。自治体や事業者、施設など幅広い関係先との連絡調整を行い、被介護者が必要なサービスを受けられるように手配します。また、ケアマネジャーになるには「介護支援専門員」の取得が必須です。

一方サービス提供責任者は、ケアマネジャーが作成したケアプランをもとに「訪問介護計画書」を作成します。そして、訪問介護事業所の利用者に対して提供するサービスの管理・調整を行います。サービス提供責任者になるには「介護福祉士」や「実務者研修修了者」など、複数の資格のなかからいずれかを所持しているのが要件です。

サービス提供責任者の仕事内容

サービス提供責任者の仕事は、おもに次の7つです。

・利用者および家族との面談・面接
・担当者会議への出席
・訪問介護計画書の作成
・サービス提供手順書の作成
・スタッフの業務管理
・スタッフの指導と育成
・モニタリング

それぞれの仕事内容と1日のスケジュール例を解説します。

利用者および家族との面談・面接

訪問介護サービスの利用者とその家族との面談を実施し、利用者のニーズを理解します。面談では、利用者の健康状態や生活環境、要望などをヒアリングし、訪問介護計画書の立案や提供する介護サービスに役立てます。

担当者会議への出席

依頼があった利用者に対し、介護サービスを提供する関係者が集まる「担当者会議」への出席も仕事です。担当者会議に出席するのは、利用者本人やその家族、ケアマネジャー、訪問看護師、ヘルパーなどです。利用者のケアプランの共有や課題の議論、必要に応じたケアプランの調整が行われます。

訪問介護計画書の作成

ケアプランの内容や利用者および家族との面談・面接で得た情報をもとに、訪問介護計画書を作成します。計画書には、提供するサービスの内容や頻度、利用者の課題と目標、具体的な介護手順などを記載します。利用者の状態やニーズの変化に応じて、定期的に見直して更新します。

サービス提供手順書の作成

サービス提供手順書は、介護サービスの提供に必要な手順書です。手順書には、提供するサービス内容や実施方法、必要な安全対策、緊急時の対応方法などが含まれます。

サービス提供手順書の作成により、スタッフが一貫性のある質の高いサービスを提供するのに役立ちます。

スタッフの業務管理

訪問介護事業所で働くスタッフの業務スケジュールの管理や、業務の割り当てなどもサービス提供責任者の仕事です。スタッフと利用者の相性やサービス提供時間、移動時間などを考慮し、訪問先や件数を調整します。

スタッフの指導と育成

サービス提供責任者はスタッフの介護技術と知識の向上を目的として、定期的な研修や指導を実施します。研修で扱う内容は、個人情報保護や虐待に関する内容などです。

また、スタッフが初めて利用者宅に訪問する際や経験の浅いスタッフの場合、サービス提供責任者が同行してサービス内容の共有や指導を行います。

モニタリング

提供する介護サービスの質の改善・維持を目的として実施するのが「モニタリング」です。利用者や担当ヘルパーなどにヒアリングを行い、以下のような内容を確認します。

・利用者の状態に変化はないか
・利用者の満足度はどうか
・利用者・家族の要望に変化はないか
・ケアプラン通りにサービスが提供されているか
・計画書で設定した目標は達成できているか・達成可能か

ヒアリングの結果、問題があった場合は、解決案を提案します。モニタリングは定期的に実施し、サービス内容の改善に努めます。

スケジュール例

サービス提供責任者の1日のスケジュール例は、以下のとおりです。

時間 仕事内容
8:30 出勤・業務内容の確認
9:00 訪問介護業務
10:30 訪問介護計画書の作成
12:00 休憩
13:00 サービス担当者会議への出席
14:00 モニタリングのため利用者宅へ訪問
15:00 スタッフからの相談対応・記録確認
16:00 ケアマネジャーへの報告
16:30 訪問介護計画書の作成
17:30 退勤

なお、スタッフから「利用者が自宅にいない」「サービス途中で利用者の体調が急変した」といった連絡が入るケースもあります。連絡を受けた場合、必要な指示を出して対処するのもサービス提供責任者の仕事です。

加えて、ケアマネジャーからの「新たにサービスを提供してほしい利用者の相談」や「臨時のサービス依頼」などにも対応します。そのため、サービス提供責任者の仕事は多岐に渡るといえるでしょう。

サービス提供責任者の資格要件

サービス提供責任者は資格名ではなく、あくまでも職種名・役割です。しかし訪問介護事業所の中核的な存在であり、スタッフが提供するサービスの質を管理する役割のため、介護に関する一定の知識・経験が求められます。

<必要資格>

サービス提供責任者に求められる資格は、以下の4つのいずれかです。

・実務者研修修了者
・介護福祉士
・旧介護職員基礎研修修了者
・旧1級課程修了者

現在「介護職員基礎研修」と「1級課程」は廃止されており「実務者研修」に移行しています。そのため、新たに取得できるのは「実務者研修」と「介護福祉士」のいずれかとなるため、注意が必要です。

・実務者研修の修了

サービス提供責任者になるには、実務者研修の修了が必要です。実務者研修は「介護福祉士実務者研修」とも呼ばれ、介護福祉士国家試験の受験に必要な資格です。

実務者研修では、介護に関する専門的な知識や実践的な技術が習得できます。受講要件は定められていないため、誰でも受講可能です。

・介護福祉士の資格取得

介護福祉士は、介護に関する資格のなかで唯一の国家資格です。介護福祉士国家試験の受験資格は、おもに以下の3つのいずれかのルートで得られます。

・実務経験ルート
・養成施設ルート
・福祉系高校ルート

実務経験ルートは「実務経験3年以上+実務者研修」または「実務経験3年以上+介護職員基礎研修・喀痰吸引等研修」のいずれかに該当する場合に、介護福祉士国家試験を受験できます。

養成施設ルートは、文部科学大臣および厚生労働大臣が指定する介護福祉士養成施設において、介護福祉士に必要な知識・技能を修めて卒業した方が対象です。福祉系高校ルートは、福祉系の高校において社会福祉士介護福祉士学校指定規則で定められている科目・単位数を修めて卒業した方が対象です。

・現在は除外されている資格もある

サービス提供責任者の資格要件として以前は認められていたものの、現在は除外されている資格もあります。

以前は「3年以上の実務経験がある介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)」が含まれていましたが、2019年4月以降は要件から除外されてい ます。そのため、新たに資格取得を目指す方は「実務者研修」か「介護福祉士」のいずれかの取得が必要のため注意しましょう。

<その他資格が必要になるケース>

訪問介護の指定を受けている事業者が、障害福祉サービスのなかの「同行援護」や「行動援護」のサービスを提供する場合、先述したサービス提供責任者の資格要件に加えて特定の研修の修了や実務経験が求められます。

同行援護サービスを提供する場合、以下3つの要件をすべて満たす必要があります。

・同行援護従業者養成研修応用課程の修了
・介護福祉士、実務者研修修了者、居宅介護職員初任者研修修了者、介護職員基礎研修修了者、等のいずれか
・3年以上の実務経験

なお、スタッフに関しても「同行援護従業者養成研修一般課程の修了」や「居宅介護職員初任者研修の修了等」「1年以上の直接処遇経験」を満たさなければ、同行援護サービスを提供できません。

また行動援護サービスも提供する場合は、以下2つの要件を満たす必要があります。

・行動援護従業者養成研修課程または強度行動障害支援者養成研修の修了
・知的障がい・精神障がいを持つ方を直接処遇した経験が3年以上

同行援護サービス同様、スタッフに関しても「行動援護従業者養成研修または強度行動障害支援者養成研修(実践研修)の修了」や「1年以上の直接処遇経験」のいずれも満たさなければ、行動援護サービスを提供できません。

お、サービス提供責任者と似た職種に「児童発達支援管理責任者」があります。児童発達支援管理責任者は、障がいを持つ子どもを対象として、個別支援計画の作成や提供するサービスの管理を行います。放課後等デイサービスをはじめとした障害児支援施設で働く職種です。

サービス提供責任者の魅力とは

サービス提供責任者の魅力はおもに次の3つです。それぞれ解説します。

・給与面での待遇がよい
・正社員雇用も期待できる
・介護についての知識が深まる

給与面での待遇がよい

サービス提供責任者の1つめの魅力は、給与面での待遇がよい点です。

令和4年に公益財団法人「介護労働安定センター」が実施した調査によると、サービス提供責任者の通常付きの税込み月収の平均は「24万3,312円」となっています。対して訪問介護員は「18万8,435円」介護職員は「20万5,898円」のため、サービス提供責任者の給与は比較的高いといえるでしょう。

訪問介護員と比べると求められる業務は幅広くなる一方で、その分給与にも反映されるケースが多いです。

正社員雇用も期待できる

サービス提供責任者の2つめの魅力は、正社員雇用が多い点です。

訪問介護事業所のスタッフは、パートやアルバイトの募集が多い傾向があります。しかしサービス提供責任者は、常勤換算方法を採用しない事業所においては、常勤職員の配置が義務づけられています。そのため正社員で採用する事業所が多く、正社員として働ける機会が多いです。

なお常勤換算方法を採用している事業所では、非常勤でも働くことが可能です。サービス提供責任者は、働き方も多様な点も魅力だといえるでしょう。

介護についての知識が深まる

サービス提供責任者の3つめの魅力は、介護に関する知識が深まる点です。

サービス提供責任者は、ケアマネジャーのケアプランをもとに訪問介護計画書を作成します。この計画書をもとに利用者にサービスを提供するため、作成するにあたって介護に関する知識が必須となります。

また、訪問介護事業所のスタッフへの指導も仕事の1つです。訪問介護では、掃除や洗濯などの生活援助だけでなく、排泄や食事、入浴介助などの身体介助も行います。介護の知識・技術がなければスタッフへの指導も難しいため、知識を深める必要があるでしょう。

まとめ

サービス提供責任者は訪問介護事業所における中核的な存在であり、やりがいのある仕事です。加えて給与面の待遇もよく、正社員雇用も期待できます。本記事で紹介した仕事内容や資格要件を参考に、サービス提供責任者へのキャリアアップを検討してみましょう。

アースメイトでは、静岡県の介護・看護・保育の求人を扱っています。静岡県に特化しているからこそ地元企業様の情報を熟知しており、スタッフ様に寄り添ってサポートいたします。

また求人のご紹介だけでなく、募集企業様とのやり取りや履歴書・職務経歴書の書き方、面接のアドバイスをはじめとした、転職に必要なサポートを行います。介護施設でのお仕事をお考えの方は、ぜひアースメイトにご相談ください。

株式会社アースメイト

お気軽にお電話もしくはメールで
ご連絡ください

アースメイトは静岡県に特化した介護・看護専門の求人・転職サイトです。専門のコーディネーターが求職者様にあったお仕事をご紹介いたします。
履歴書や職務経歴書の書き方、面接のアドバイス、キャリアプランの作成など、転職に必要なことを全て無料でサポートさせていただきます。