介護職は現在、無資格でも勤務ができます。そのため、介護の現場でも資格を持っていない介護職員は多く働いています。しかし、今後は資格がないと、介護施設で働けなくなることをご存じでしょうか。

2021年4月から「認知症介護基礎研修」の受講が義務化されました。この研修を受講していない人は、介護の現場に従事できなくなるのです。

この記事では、認知症介護基礎研修について、どんな資格なのか、どのように取得するのかなどについて解説します。

認知症介護基礎研修とは、認知症の人を介護するときに必要になる、基本的な理解や対応方法の習得を目的とした研修制度です。2015年に定められた「認知症施策推進総合戦略」をもとに、将来増えると見込まれる認知症患者に対応するために創設されました。

2021年4月の介護報酬改定にともない、資格のない状態で認知症患者のケアをしている介護職員に対し、認知症介護基礎研修の受講が義務化されました。2021年4月から2024年3月末までは猶予措置が取られていますが、2024年4月以降は完全義務化となるため、無資格の場合は働けなくなります。

認知症介護基礎研修の義務化は、介護サービス事業者を対象に課されています。2024年以降に、受講が必要となる介護職員に受講させない事業所は、行政処分の対象となるため注意が必要です。

認知症介護基礎研修を受講しなければならない対象者は、すべての介護サービス事業所において、資格を持たずに直接介護に従事している人です。医療や福祉の資格を持っていない介護従事者は、必ず受講しなければなりません。

現在は無資格でも介護に携わることができますが、2024年4月以降、この研修を受講していない人は介護の仕事に従事できなくなります。

認知症基礎研修は受講が義務化されています。しかし、受講が免除になる場合もあります。医療福祉の国家資格をすでに保有している人と、介護職員初任者研修・認知症介護実践者研修などの研修を終了している人は、受講する必要はありません。

受講が免除される資格については、看護師・介護福祉士・社会福祉士・医師・歯科医師・薬剤師・精神保健福祉士・栄養士・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師・はり師・きゅう師・介護支援専門員などがあります。

受講が免除される研修には、実務者研修・介護職員初任者研修・介護職員基礎研修課程・生活援助従事者研修・認知症介護実践者研修・認知症実践リーダー研修などがあります。

このような資格保有者や研修修了者は、認知症ケアに関する基礎的な知識と技術を持っているため、免除の対象です。また、認知症科目がある福祉の高校を卒業した人、養成施設で認知症に関する科目を受講した人、直接介護の仕事を行わない職員なども免除されます。

認知症ケア指導管理士や、認知症サポーター養成講座といった資格は、民間の認知症ケア資格です。これらの民間資格は、たとえ持っていたとしても免除にはならないため、認知症介護基礎研修を受講しなければなりません。

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研修制度があるため、介護職未経験の方でも働きやすい環境です。研修では、介護の仕事を最初から丁寧に指導してもらえるため、初めて介護の職に就く方でも安心して受けられます。

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認知症介護基礎研修を受講するメリットにはいくつかあり、認知症ケアの知識を身につけられることやキャリアアップにつながるといったメリットがあります。ここでは、受講することで得られるメリットについて、理由などを詳しく解説します。

認知症介護研修では、介護の現場で必要になる基礎的な知識や介護技術、考え方について学びます。認知症の方への理解が深まることで、本人や家族への適切な対応ができるようになります。

認知症の基本的知識や正しい対応を身につければ、認知症の方とのコミュニケーションがスムーズになり、介助者の負担も少なくなります。高齢者の気持ちに寄り添った介護ができたり、自分自身のやりがいにつながったりするところもメリットといえるでしょう。

認知症介護基礎研修を修了すると、認知症介護の現場で必要な知識と技術を習得でき、上位の認知症介護実践研修の受講資格が得られます。上位の研修にはいくつかありますが、ここでは「認知症介護実践者研修」と「認知症介護実践リーダー研修」の2つについて解説します。

認知症介護実践者研修は、現場で講義や演習、グループディスカッション、実習などで認知症への理解度をさらに深める研修です。中堅介護職向けの研修で、現場での経験が2年以上必要です。

認知症介護実践リーダー研修は、認知症に関する指導方法、最新知識やチームケアの手法などを学習します。介護施設などでの経験が5年以上あることが条件のため、充分な経験を持ったベテラン職員向けといえます。

これらの研修で身につけた知識と技術を活かし、介護の現場で経験を積んでいくことでレベルアップできます。上位の研修をクリアし認知症ケアのスペシャリストになれば、昇給や昇格、転職などにも有利になるところがメリットです。

認知症介護基礎研修を受講するやり方や申し込みの方法、費用、研修内容などについて解説します。

認知症介護基礎研修は自治体・団体ごとに実施されます。そのため、地域によって受講方法などが異なる場合があります。各自治体のホームページなどで、研修の詳細を確認しておくと安心です。

認知症介護基礎研修では、認知症の症状への理解、対応の基礎、ケアの技術などを学び、介護職の業務に必要な基礎知識と考え方を学習します。認知症介護基礎研修は、基本的に「認知症介護基礎研修eラーニング 」にて行われます。動画の視聴と各章ごとに確認テストを受け、すべての章で全問正解し、最後に修了証書が発行される流れです。

認知症介護基礎研修eラーニングは、序章と4つの章から編成されており、各章ごとに複数ある学習項目の講義動画を視聴し学習します。動画を視聴したら、内容について問われる確認テストを受けます。

認知症介護基礎研修の受講方法は、認知症介護基礎研修eラーニングシステム専用サイトから申し込みが可能です。

事業所の登録を事業所の責任者が行います。介護保険事業所番号や自治体名、事業者情報などを登録します。事業者コードが届いたら、受講者はメールアドレスを登録し、氏名や生年月日、事業者コードなどを入力し、受講IDを取得します。受講者の登録が済んだら、受講料を支払います。これで申し込みは終了です。

インターネットを利用し、PCやスマートフォンなどで認知症介護基礎研修eラーニングシステム専用サイトからログインし、受講します。

また、受講の途中でパソコンを閉じても、再度ログインすれば前回の続きから再開ができます。終了後も何度でも繰り返し学習できるため、確実に自分の知識として吸収することができるでしょう。

認知症介護基礎研修の受講費用は、1人あたり3,000円程度で受講可能です。認知症介護基礎研修eラーニングは、自治体や団体ごとに実施されるため、それぞれ費用が異なる場合があります。

「社会福祉法人東北福祉会 認知症介護研究・研修仙台センター」が運営する認知症介護基礎研修eラーニングシステムの専用サイトで確認しておきましょう。

認知症介護基礎研修の難易度は、それほど高くないでしょう。無資格や介護職に従事したことがない方に向けて、認知症介護に関する基礎知識や技術をわかりやすく講義する研修内容です。

介護の入門編ともいわれる資格に、初任者研修があります。無資格の方が受講する認知症介護基礎研修と比較されやすいですが、どちらを取得するべきかわからない方も多いのではないでしょうか。

ここでは、認知症介護基礎研修と初任者研修の違いや、どのような方が目指すべきなのかなどをまとめました。

初任者研修（介護職員初任者研修）は、在宅・施設を問わず、介護職として働くための基礎知識や技術を身につける研修です。この資格を持つことで、介護職としてのキャリアがスタートするといってもよいでしょう。

介護の仕事は、大きく分類すると「生活援助」と「身体介護」の2つに分けられます。生活援助は、掃除や食事の支度、買い物など要支援者や要介護者の暮らしをサポートすることをいいます。身体介護は、食事や入浴、排泄介助など、要介護者の身体に触れて支援することです。

身体介護を行うためには、高齢者や障がいのある方の状態に合わせたサポートができる専門知識と技術が必要です。その知識と技術を習得している証となるのが、初任者研修の資格です。

認知症介護基礎研修と初任者研修の違いは、目的とする受講項目が異なる点です。認知症介護の基礎を学ぶのが認知症介護基礎研修で、介護全体の基礎を学ぶのが初任者研修です。

認知症介護基礎研修は、認知症の方をサポートするために必要な基本知識や技術を身につけることが目的の研修です。認知症の特徴や対応方法を通じ、認知症の方への理解を深めていきます。

初任者研修は、介護の世界で働き始めた人が、介護の基本知識や技術を学ぶことを目的としています。介護の基本的な考え方、介護技術や法律、コミュニケーションスキルなどを学びます。

認知症介護基礎研修は、短期間でコストを抑えながら知識や技術を身につけたい方におすすめです。受講時間も最短で2時間ほどで、初任者研修よりも受講費用が安いため、受講しやすいのも特徴です。

介護職として長く勤めることを目指している人には、初任者研修がおすすめです。この研修を受けることで、介護全般の知識や技術を習得できます。初任者研修を修了すると、一部の実務者研修科目が免除されるため、キャリアアップを目指す人は受講するとよいでしょう。

研修終了までの時間はおよそ130時間で、認知症介護基礎研修よりも長い時間がかかります。費用は5万円から10万円前後と幅があり、認知症介護基礎研修よりも高くなります。そのため、介護職を長く続けたい人に向いているといえます。

長期的に介護職として働くことを目指し、幅広い知識や技術を習得したい方には初任者研修をおすすめします。

介護職として働くために、受講することが義務化された認知症介護基礎研修についてまとめました。認知症介護基礎研修は、医療・福祉についての資格を持っていない介護従事者や、認知症介護未経験の職員に向け、認知症介護の基礎知識・技術を習得することが目的です。

介護を仕事とするには、この認知症介護基礎研修を受講しなければなりません。アースメイトなら、サポート体制が充実しているため、資格も取りやすいです。

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