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介護保険制度における介護サービスの種類とは?
介護サービスにはさまざまな種類があり、事業所によってサポート内容や職場の雰囲気などが異なります。そのため「自分に合った事業所で働きたい」「新しい知識やスキルを習得し、提供できるサポートの幅を広げたい」と考えている人も多いのではないでしょうか。

介護士は、介護が必要な人々の生活を支える重要な役割を担っています。自分に合った介護職のスタイルを見つけることで、キャリアアップにつながるでしょう。

本記事では、介護保険制度の概要や介護サービスの種類、サービス提供事業所の選び方などについて解説します。

介護保険制度とは

介護保険制度とは、介護が必要な人に対して、介護サービスや介護施設の費用を助成し、適切なサービスを受けられるようにサポートする制度です。

介護が必要かどうかは「要介護認定」「要支援認定」の度合いで判定します。要介護認定では、介護保険制度で定められた評価基準に基づいて、要介護1〜5の5段階に分類します。要支援認定も同様に、介護保険制度で定められた評価基準に基づき、1〜2の2段階に分類されます。

介護サービスには、要介護1(軽度)〜5(重度)に認定された人が受けられる介護給付と、要支援1〜2に認定された人が受けられる予防給付の2種類があります。

〈制度の概要と歴史〉

高齢化社会における介護問題に対応するために、2000年4月に介護保険制度が施行されました。

介護保険制度は、高齢化が進むなかで、介護者の増加や介護の長期化を想定して策定された制度です。そのときどきの市場の変化などに合わせ、3年に1度、適切な内容になるよう見直しが行われています。

2024年度4月には、新たに介護保険制度が改正される予定です。政府提言では、利用者負担が原則2割や小規模法人の大規模化、人員基準の見直しなどが議論されています。これらは社会保障審議会を経て、骨子が決まります。

〈制度の目的と役割〉

介護保険制度は、高齢化が進むなかで増加する介護需要に対応するため、介護が必要な人に対して、必要な介護サービスを提供することを目的に制定されました。

介護サービスや介護施設の利用に必要な費用を抑え、自己負担額の上限に収まるよう、国や自治体が利用料金の一部を助成します。

介護保険に加入することで、介護が必要になった場合には一定の給付を受けることができます。また、介護保険は40歳以上のすべての人が加入対象であり、加入している医療保険団体によって保険料は異なります。

たとえば、職場の健康保険に加入している場合は、標準報酬月額に基づいて算出します。一方、国民年金保険に加入している場合は、家族単位で徴収され、所得や資産などに応じて算出されます。

65歳以上の人の場合は、市区町村ごとに算出する基準額に基づき、本人や家族の所得に応じて決定します。

〈制度の運営と改正〉

介護保険制度は、全国の自治体が主体となり運営しています。介護保険制度は、高齢化社会において必要不可欠な制度として、今後も重要な役割を担っていくことが予想されます。

そのため、改正が重ねられ、利用者の自己負担額の引き下げや、介護職員の確保など、介護現場の改善に向けた施策が進められています。

介護サービスの種類

介護サービスは、大きく3つに分けられます。

● 在宅で受けられるービス
● 介護施設で受けられるサービス
● その他の特別なサービス

上記の介護サービスは、介護保険加入者の介護が必要になった場合に、利用者の状態やニーズに合わせて利用が決定されます。

〈介護保険サービスと自立支援サービスの違い〉

介護保険サービスと自立支援サービスは、どちらも介護が必要な人の支援を目的としています。大きな違いは、介護保険に加入しているか否かです。

介護保険サービスは、介護保険に加入している人が利用できるサービスです。自治体に申請を行い、要介護・要支援の認定を受けることでサービスを受けられます。

一方、自立支援サービスは、介護保険に加入していなくても利用することが可能です。自立した生活が送れるよう、預金の預け入れや解約など、生活費の管理などのサポートを受けられます。
『介護保険サービス』
介護保険の加入の可否 ・・・ 加入が必要
サービスの目的    ・・・ 利用者の自己負担を軽減すること

『自立支援サービス』
介護保険の加入の可否 ・・・ 未加入でも可
サービスの目的    ・・・ 自分自身で生活するための能力を維持・向上するためのサポートを提供すること

〈在宅で受けられるサービス〉

在宅で受けられるサービスは、下記のとおりです。
〖サービス名〗
  通所介護(デイサービス)
〖特徴〗
・デイサービスを提供する施設に通い、食事や 入浴、機能訓練などのサービスを提供。
  
〖サービス名〗
  通所リハビリテーション(デイケア)
〖特徴〗
・デイサービスと同様、施設に通ってサービスを受ける。
・リハビリテーションや医療的なケアが中心。

〖サービス名〗
  短期入所生活介護(ショートステイ)
〖特徴〗
・要介護者が数日から1週間などの短期で、食事や入浴の援助、機能訓練などのサービスを提供。
・介護する家族が、体調不良の場合や家を開ける必要があるとき、リフレッシュしたいときなど、介護の負担軽減が目的。

〖サービス名〗
  短期入所療養介護(ショートステイ)
〖特徴〗
・短期入所生活介護と同様、短期入所療養介護もショートステイの1種。
・医療の側面が強く、医療処置やリハビリテーションのサービスを提供。

〖サービス名〗
  訪問介護(ホームヘルプサービス) 
〖特徴〗
・訪問介護員が、食事や排せつなどの介助や生活に必要な掃除、洗濯、買い物などのサービスを提供。

〖サービス名〗
  居宅療養管理指導
〖特徴〗
・医療従事者が、療養上の管理や指導を行う。

〖サービス名〗
  訪問入浴介護
〖特徴〗
訪問入浴介護 ・看護師や介護職員が、介助があっても浴槽にはいれない人をサポート。

〖サービス名〗
  訪問看護
〖特徴〗
・医師が必要と認めた人のみが受けられるサポート。
・看護師や保健師が、病状観察や食事・排せつの援助、注射や点滴の管理など、医療処置の管理などのサービスを提供。

〖サービス名〗
 訪問リハビリテーション
〖特徴〗
・理学療法士や作業療法士がリハビリテーションをサポート。

〖サービス名〗
  特定施設入居者生活介護
〖特徴〗
 ・有料老人ホームやケアハウスを指すが、介護保険上では居宅と位置付けられている。
・食事や入浴、排せつなどの援助や機能訓練などのサービスを提供。

〖サービス名〗
  居宅介護支援事業(ケアマネージャー)
〖特徴〗
 ・介護サービスではないが、介護に関わる保 険の申請や居宅サービス計画、介護保険施設への紹介などのサービスを提供。

〈介護施設で受けられるサービス〉

介護施設で受けられるサービスは、下記のとおりです。

〖サービス名〗
  介護老人福祉施設
〖特徴〗
・食事や入浴、排せつなどの援助や機能訓練、 療養上の管理などのサービスを提供。

〖サービス名〗
  介護老人保健施設
〖特徴〗
・医療と福祉の両方のサービスを提供。
・入所者の約8割が、認知症疾患を持つ。

〖サービス名〗
  介護療養型医療施設
〖特徴〗
・長期の治療を必要とする、衣料中心のサービスを提供。
・療養病床を持つ病院や診療所が多い。

〈その他の特別なサービス〉

在宅や施設で受けられるサービス以外にも、可能な限り利用者が自宅で自立した生活を過ごせるようなサービスがあります。

〖サービス名〗
  福祉用具貸与
〖特徴〗
・車いすやスロープ、特殊寝台などの13品目が対象。
・1ヵ月の支給限度額は要介護別に異なる。

〖サービス名〗
  特定福祉用具販売
〖特徴〗
・購入した費用の7〜9割が介護保険から払い戻される。
・年間の支給限度額は10万円まで。

介護サービスの利用方法

介護サービスの利用の流れは、以下のとおりです。

1. 要介護・要支援認定の申請
2. 認定調査・主治医意見書
3. 審査判定
4. 認定
5. 介護サービス計画書の作成
6. 介護サービス利用開始

要介護度によって受けられる介護サービスは異なります。介護度に応じて、どんな介護サービスを受けるのかなどのサービス計画書を作成し、それに基づいたサービスの利用を受けることができます。

〈介護保険の申請方法〉

介護サービスを利用するためには、住んでいる市区町村の介護保険課などで、要介護・要支援認定を申請する必要があります。65歳以上の人が申請を行う場合は介護保険被保険者証を、40〜64歳までの人が申請を行う場合は、医療保険証が必要です。

申請後は、認定調査や主治医の意見書などに基づいて一次判定、二次判定を経て、要介護度が決定します。

〈介護サービスの利用者負担金について〉

介護保険サービスの利用者負担金は、料金の1〜3割と定められています。基本的には1割ですが、利用者の所得などに応じて自己負担割合が1〜3割で設定されます。たとえば、1万円の介護サービスを利用した時の利用者負担金は1割負担で1,000円です。

また、要介護・要支援の等級に応じて利用限度額が定められており、限度額を超えて利用した場合は、超えた分の費用は全額自己負担です。

ほかにも介護保険施設を利用する場合は、費用の1割負担以外にも居住費や食費などの負担も必要です。所得が低い人やサービスが高額になってしまった人などには、別途負担軽減措置があります。

・特定入所者介護サービス費
・高額介護サービス費
・高額医療・高額介護合算療養費

介護サービス費用は、利用者や支える家族にとって大きな負担です。負担軽減措置などを活用し、利用できるサービスを活用して、ストレスなく介護を進めることが大切です。

〈サービス提供事業所の選び方とポイント〉

サービス提供事業所を選ぶ際は、利用者や家族に合った事業所を選択する必要があります。

● 施設の種類や提供サービス
● 地域や立地条件
● スタッフの質や研修制度
● 施設の評判や口コミ
● 施設の清潔さ・設備の充実度

その際、実際に見学や施設の利用体験をすることで、より利用したときの内情が分かりやすくなるでしょう。

〈サービス提供事業所の変更方法〉

「事業所の対応が悪い」など、運営に不満があり、サービス提供事業所の変更を考えている人も少なくありません。

しかし、事業所を変更する場合は、イチから契約をする必要があるため、利用者側の手間がかかります。まずは担当のケアマネージャーに相談しましょう。

また、事業所ではなくケアマネージャーを変更したいと悩んでいる方も多いです。その場合は、ケアマネージャーの変更を希望してみるのもいいかもしれません。ケアマネージャーを変更したい場合は、市区町村の介護保険課や地域包括支援センターなどで相談が可能です。

介護サービスの充実のために

ライフスタイルの多様化から、介護ニーズ自体も多様化しています。労働人口が減少していくなか、ニーズに的確に対応することは困難と言われています。そのため、必要な介護サービスの確保に向けて、介護サービスの基盤整備が重要です。

また、質を向上させるためにもケアマネージャーなどの資質向上を図り、地域のケアマネジメント機能の向上が必要不可欠でしょう。

〈介護サービスの課題と改善策〉

多くの介護サービスでは、介護士の人手不足や離職率の高さ、経営状態の悪化などが問題視されています。少子高齢化の影響もあり、2025年度には団塊世代のすべてが後期高齢者となるなか、支え手である現役世代が急速に減少します。

今後は、いかに少ない人材で介護サービスを効率的かつ効果的に提供するかが重要な課題です。そのため介護保険制度改革では、2040年度も見据えた備えが重要とされています。

〈介護保険制度改革の取り組み〉

介護保険制度は、介護保険事業計画に基づいて運営されています。介護保険制度改革では「介護予防・地域づくりの推進」「地域包括システムの推進」「介護現場の革新」の3施策を柱に進めています。

これらの施策をもとに、制度の持続可能性確保のために3年を1期として、地域におけるサービス計画を定め、保険料などの見直しを行っています。

また、上記の人材の確保に向け、厚生労働省は介護に関する入門的研修も推進しています。これは介護に興味を持つ介護未経験者に対して、不安を払拭するために、具体的な知識などを検収することにより参入を促進させることが狙いです。
厚生労働省は2022年8月、特別養護老人ホームの入所基準の見直しを検討すると発表しました。

〈地域包括ケアシステムの整備〉

地域包括ケアシステムとは、地域の医療機関や介護施設、福祉団体などが協力して、地域住民の健康や生活を支援するシステムを指します。

しかし、地域によっては介護ニーズが減少している地域や、今後増大が予想される地域などさまざまです。そのため、地域特性などに応じた介護基礎整備や、質の高いケアマネジメントが求められています。

〈介護予防や地域交流事業の推進〉

暮らしや地域の在り方が多様化するなかで、社会とのつながりをもち、一人ひとりの生きる力や可能性を最大化するために、地域社会との共存が重視されています。

これらを推進するために、介護予防の予算額の強化や、各市町村支援へのきめ細やかな支援などが挙げられています。

いつまでも健康で活力に満ちた社会の実現に向けて、地域交流事業などの健康増進に関する施策を取り入れ、地域のつながりを濃くし、スポーツなどに興味を持ち、習慣につながる取組を推進しています。

まとめ

今回は、介護サービスの種類について解説しました。介護サービスの種類は、在宅介護や施設介護など多岐にわたります。自身に合った職場環境を選ぶためには、スキルや資格、経験を踏まえて、職場の雰囲気や勤務体制などを確認することが大切です。

また、転職をきっかけに資格取得やスキルアップを目指すことで、より充実したキャリアを築くことができます。

アースメイトでは、専門のコーディネーターが自身に合った転職をサポートします。ライフスタイルや環境などを考慮し、安心して長く働き続けられるような会社を紹介します。職場環境や、待遇などで悩んでいる人は、ぜひご相談ください。

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